こんにちは!
今回は、久々に書評です。
これまでは、釣りに関する書籍の書評をメインに書いていまいしたが、今回はちょっと異色。
プロゲーマーの梅原大吾さんによる、「1日ひとつだけ、強くなる。」です。
仕事に通じる話題本ということで手に取ってみましたが、いやいや釣りにも通じる部分がたくさんある!と感じられたのでご紹介します。
まずはじめに
ストリートファイター系の格闘ゲームのプロフェッショナルということで、作中には「勝つ」「対戦相手」「強い」などのキーワードがたくさん出てきます。
それを、釣り用語に置き換えて読んでみると・・・めちゃくちゃエキサイティングでした!
たとえば、次のように。
「ゲーム」・・・釣り
「勝つ」・・・釣れる/爆釣
「負ける」・・・釣れない/ボウズ
「強い」・・・上手い
「プレイヤー」・・・アングラー/釣り人
「相手」・・・魚/ターゲット
1.釣りの「釣れるパターン」の変化は、生物の進化、淘汰に似ている
もともとは、
“ゲームの「勝ちパターン」の変化は生物の進化、淘汰に似ている”
という本文中の記述でした。
“ゲームの理解がされていない新作初期なら、人よりいち早く攻略ポイントを掴むことで大きく先んじることができる”
というものですが、これはまさに釣りにも当てはまりますね。
10年前はアジングや太刀魚のワインドなどのゲーム(釣り)は確立されていませんでしたが、メーカーの34さんやオンスタックルさんをはじめとした様々な釣り人や釣りメディアが、ターゲットの食性や行動パターンなどを研究しメソッドを普及することによって、新たな釣りのジャンルとして確立されました。
似たところで、”シーバスは夜に釣るもの”という常識を覆した、”シーバスデイゲームナンバーワン”を謳うコアマンの泉代表もその例に挙げられると思います。
個人的には、ショアマダイやイワシングといったジャンルをちょっと研究してみたいな〜と思っています。
これまではルアーターゲットとして確立されていなかった釣りターゲットが増えていくと、ワクワクしますよね♪
2.自分の釣れるパターンを押しつけるだけでは、トップアングラーにはなれない
もともとは、
“自分の勝ちパターンを押し付けるだけでは、トッププレイヤーにはなれない”
という本文中の記述でした。
“相手のことなんて関係なく、「こうすれば勝ち」と思っているパターンをひたすら繰り広げる。”
というものですが、これも釣りにも当てはまりますね。
むしろ、(自分も含め)中級者になるほどパターンにはまってしまうことが多くなってしまうんじゃないでしょうか。
過去に、Aしたら釣れた。だから、Aしなきゃ釣れないんだ。と、パターンにこだわってしまう例です。
夏のシーバスは表層を超高速リトリーブしなきゃ釣れない、とこだわってしまうと、ボトムにいるシーバスを獲り損ねてしまうかもしれません。
過去の成功体験は確かに重要ですが、常に相手(魚)の行動を意識して、今どこにいるか?自分の釣り方は最適解か?と自問自答し続ける姿勢が、上達に必要不可欠な気がします。
“もし心当たりがあるのなら、少し対戦相手の行動の意味を考えてやってみるといい。”
というのも、そのものズバリですね。
産卵行動、捕食行動、水温変化による行動、潮流の強弱による行動、様々な要素により相手(魚)の行動は変わってくるはずです。
釣りが知的スポーツといわれるのも、このあたりに由縁がありそうですね。
3.「釣果」だけを意識する釣り方では、上手くなれない
もともとは、
「勝ち」だけを意識する取り組みでは強くなれない
という記述でした。
釣り人にとって「釣果」はかなり大事な要素を占めています。
そのためか、よく「どこにいけば釣れますか?」という質問を受けます。
「せっかく釣りに行くのだから、釣れるところにいきたい(釣果に直結させたい)」という気持ちのあらわれなのではと思います。
しかし、釣れるところに行けば、短期的な目線では釣り人として「釣れる」かもしれませんが、長期的な目線では釣り人として「上手くならない(腕が上がらない)」でしょう。
確かに、「釣ったことがある」という経験から得られる、”どのようなポイントでどのような餌(ルアー)をにヒットしどのように引くかという情報(暗黙知・経験値)”は釣り人に大きな財産です。
次回の釣行からは、ヒットシーンがよりイメージしやすく、釣り自体により集中しやすくなるでしょう。
しかし、仮説と検証を置き去りにし、釣果だけに拘って「釣れる場所」に行ってなんとなしに釣れると「なぜ釣れたのか?」を強く意識することはできません。
得られることは、せいぜい「場所が良かったから釣れた」「魚がいたから釣れた」という感覚でしょう。(とはいったものの、カッコ書きは正論であり、食い気のある魚がいる場所に如何にしてエントリーするか?が一番釣り人にとって大事なことだとは思います)
「なぜ釣れるのか?」を理解するには、「なぜ釣れないのか?」を理解することが最も近道だと考えています。
釣れなかったときほど、釣りがうまくなるための要素が詰まっているはずです。
「たかが釣りなんだから・・・」と言わず、釣れない状況としっかり向き合うことが大切な気がします。
本文中にも、
“負けることよりも「発見」がないことのほうが怖い”
とあります。
“負ける”を”釣れない”に読み替えると、また少し心に響きますね。。
4.1日1つだけ、成長をメモする。
著者がプロゲーマーとしてモチベーションを保つコツは、1日1つだけ成長をメモすることだそうです。
自分に対するハードルを上げすぎない。釣りも同様ではないでしょうか。
1回の釣行で1個でいい。気づいたことを積み上げていきます。
最近、青物狙いで大潮に釣行することが多かったですが、なぜか海面は湖のように穏やかで潮の流れが感じられない。
不思議に思ってメモしておくと、後から「最近小潮まわりのほうが潮が流れて青物寄ってる気がするんだよね」という話を人づてに聞いたりします。
この月は潮回りは小潮のほうがいいのかもしれない、とメモしておくと、次回以降の釣行計画を立てる際の参考にもなります。
釣りは「仮説と検証」の要素が大きいので、1日1つだけ、メモしておくと長い目で見て「上手い」釣り人になるのかもしれませんね。(おそらく地元の老練な釣り名人などは、メモなどとらずとも毎日竿を出すことで経験値として釣れる/釣れないを把握しているのでしょう)
5.行動力。見る力。聞く力。この3つが「上手さ」の3要素。
もともとは、
“行動力。見る力。聞く力。この3つが「強さ」の3要素。”
という記述でした。
センスがあって上手いタイプなのに、イマイチ釣れないアングラーは聞く力が弱い。
知識や技術に問題ないけれど、結果が出ないアングラーは行動力がない。
行動するし聞く姿勢はあるけど、一向に釣れないタイプ。これは見る力がない。
だいたい、この3つのどれかに当てはまるというものですね。
潮目や風、ライズ、ベイトの群れ、海中の障害物(ストラクチャー)など、さまざまな情報を得る「見る力」は個々の能力的な部分が大きいかもしれませんが、行動力と聞く力は変えられるものと思います。
ゲームという枠組みの中では、テレビゲームも釣りも同じなのかもしれませんね。
しかし、テレビゲームと釣りで決定的に違うことは、「失敗したら命をとられる」ということ。
本作中では、「負けても命まではとられないから」ということが書かれていますが、釣りは魚の命を奪うことが多いのと引き換えに、釣り人が命を落とすことも多いゲームです。
十分に注意して、安全に、魚への感謝の心を忘れず、釣りは続けていきたいですね。
いかがでしたでしょうか?
プロゲーマーから釣りに対する心構えとして、学ぶことが多くあるように感じたので、記事にしてみました。
最近、エソやフグが堤防に打ち捨てられていて思うことは多いですが・・・。この件に関してはまた別記事で取り上げたいと思います。