釣り読書感想文シリーズ!
今回はこちら。
LEONさんの新著、「アジング・メバリング超思考法」です。
ライトゲームアカデミーに続き、ルアーフィッシングのワクワクを感じさせる内容でした。
いわゆるノウハウ本・ハウツー本ではありませんので悪しからず。
ターゲットの習性を十分に理解すること。
「どのようにしたら釣れるか」ではなく、そもそも「なぜ釣れるのか」について考えることの重要性にフォーカスされています。
これを読めば、明日からの釣行にすぐに役立ち釣果に結びつく!
という内容ではありませんが、長いスパンで見て釣りが上手くなるのに役立つ、という印象です。
気になる箇所に折り目をつけていたら、結構な量になりました。
![アジング・メバリング超思考法のドッグイヤー](https://suzushige.net/wp-content/uploads/2017/10/IMG_6051-1.jpg)
印象に残った点をいくつかピックアップします。
生きない経験、報われない努力にサヨウナラ
釣りの上達はゴルフの上達と同じく、練習が必要という内容。
サンデーアングラーとしてそこそこ釣果を挙げることもできますが、異常に上手い人って「釣れない前提」で状況観察や実験のために釣行している人が多い気がします。
だから、いい意味で即物的な釣果への執着が薄く、殺気立っていない印象です。
そこに思考はあるか?
釣りに理論は付き物だ。しかしその理論は一見「理」に見えても、実態は「推論」にすぎない。推論は決して正解では無いけれども、拠り所としてはアングラーにとても必要な支えになってくれる。
— 加来 匠 (@MEBALEON) 2017年8月5日
ただなんとなく釣りをする釣り人と、釣行中に想像力(妄想力?)をフル稼働して考える釣り人の差は大きいです。
釣りが上手い人はポイント探しの上手い人
こういっては身も蓋もありませんが、釣りの上手い人は「釣りやすい魚がいる場所」に入れる人です。
では、釣りやすい魚がいる場所とはどこか?
魚の捕食行動、産卵行動、危険回避行動、適水温といった生態に関する知識から、果ては植物プランクトンの発生条件など環境に対する知識をフル稼働すれば割り当てられないこともありません。
今朝から赤潮発生の報道がなされているが、アジやメバルが好きなアミも一夜にして湧く。それも生命の効率(環境)に基づいて、おおむね決まったエリアの決まったポイントで発生する。これを「餌を運ぶ潮」と呼ぶ。
今取り掛かっている書籍はこういう原理原則の段階から書いている。 pic.twitter.com/b5kByn86ra
— 加来 匠 (@MEBALEON) 2017年5月5日
誰もいないマイナーなポイントに、ここぞ!という信念を持ってエントリーする名人が多いのもこの辺りに理由がありそうです。
湾奥にアジの回遊が入るキーワードは?
秋、湾奥の浅場に居着きのキンアジが回遊してくるキーワードも面白いですね。
餌を運ぶ潮、餌を運ぶ天候。
単純に「回遊してくる時期」がきたからと考えてきましたが、確かにプランクトンが発生しやすくなる条件ってあるよな・・・。
そもそもキンアジとクロアジの違いって、ノマセ釣りでは意識するけどアジングでは意識したことなかったな・・・。
ちなみに、淡路島ではアカアジとアオアジで区別されます。
釣り的置換法とアジのサイズによる食性の違い
![レンジ差によるアジング釣果の差20170402](https://suzushige.net/wp-content/uploads/2017/04/IMG_3227-e1509199988732-1024x1024.jpg)
たとえば、こどもが好きなのはオレンジジュース。
たとえば、わかものが好きなのはカシスオレンジ。
たとえば、おとなが好きなのはビール。
人間の嗜好は成長とともに変化します。
魚の嗜好も成長とともに変化します。
小アジが好きなのはアミなどのプランクトン。
中アジ以上が好きなのは多毛類(ゴカイとかね)や小魚。
確かに、淡路島でもイカナゴを捕食する中アジはメッキのようなガツン!としたファイトが特徴的。
アジングは軽いリグ、クリアなワーム、エステルラインだけではないということですね。
小アジばかりのポイントでも、メソッドを変えれば中アジ以上を狙い撃てるかも?
という非常にワクワクする内容です。
朝マヅメにしか食わない巨メバル
![スモウヘッド0.6gのガルプミノー2インチにフッキングしたメバル20cm(2017.5)](https://suzushige.net/wp-content/uploads/2017/05/IMG_4219.jpg)
たとえば、飲食店店員は昼食の時間がお客さんよりズレている。
たとえば、多忙な営業マンの昼食は営業車内で食べられることが多い。
たとえば、事務職員の昼食は社員食堂で食べられることが多い。
ヒトという同一種であっても、食事スタイルは多様です。
同様に、魚(たとえばメバル)という同一種であっても、食事スタイルは多様です。
特に、某所の「朝マヅメしか食わない」巨メバルの話が面白かったです。
淡路近海でも仔メバルを偏食(共食い)する巨メバルとかいますしね。
釣り頭を鍛える置換法
メバルのサイズを小学生〜女子大生までたとえている比喩も面白かったですね。
学校(群れ)には、子ども(稚魚)は多いけど大人(大型)は少ない。
では、大人(大型)はどこにいるのか?
釣り頭を鍛える置換法で考えます。
個人的にも釣りの最中に置換法はよく使います。
日中のビーチとナイトプール、どちらの魚の活性が高いか?
この店で人気なのはカクテル(ソリッド)か日本酒(クリア)か?
後ろから声をかける(ルアーとしてはかけられる)ためにどのコースを通すか?
ブランド物のバッグにぬいぐるみをつけるようなチグハグさ(つけこまれやすい隙)をルアーで演出するには?
なんかナンパ術っぽくなってきたのでここまで。
というか、ナンパ師ってかなり釣りが上手いと思うんですよね。
成功法則をつかむまでの場数やトライ&エラーという点では相当釣りに似通っています。
最大公約数的なメソッドに固執しないこと
シーバスだったらドリフトさせて・・・
アジングだったらフォールさせて・・・
メバリングだったらリトリーブで・・・
青物だったら激しいジャークで・・・
どれも正解(有効なメソッド)です。
しかし、あくまで最大公約数としての正解です。
つまり、「正解が他にもある可能性」があります。
別の正解の出現により、見たことのない魚種・サイズにアプローチできるかもしれない。
そういうワクワク感がこの本からは得られます。
ストッキングで魚を釣る話はシビれました。
▼▼▼
釣り具は釣り人が作るもの。
釣り方も釣り人が編み出すもの。
メーカーから与えられたゲームの世界(釣り具や釣り方)でプレーするだけでなく、自らの境地を拓いていく面白さ。
そんなワクワク感が詰まった一冊でした。
内容的には中級者以上推奨です。
以上、「LEON氏のアジング・メバリング超思考法を読んでみた!」でした!
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