魚を釣れば釣るほど、「魚たちはどのように餌を捕食しているんだろう?」と気になってしまう・・・。
そして、そんな魚に毎日餌をやっている水族館の飼育員さんは、毎日魚の捕食シーンを見れるからいいなあ・・・。
よく聞く捕食スイッチってほんとにあるのかな?
って、そんなことを思っちゃう釣りバ○なあなたにおすすめしたい1冊のご紹介。
久々の釣り本書評シリーズです。
【書評】水族館発!みんなが知りたい釣り魚の生態〜釣りのヒントは水族館にあった!?〜
釣りが大好きな全国の水族館のスタッフたちが、釣り魚の生態を徹底紹介!
釣りをしている人には水面下の魚は見えません。水面下の魚の行動は想像の世界です。しかし、水族館の飼育員たちは、毎日、いろんな角度から魚を観察しています。顔を見ただけで個体が見分けられて、エサ食いでご機嫌がわかるほど、愛情を持って飼育しています。そんな水族館飼育員が釣り好きだったら、どんな視点で魚を眺めているのでしょう。
本書は、飼育のプロとしての観察眼を持つ全国21の水族館から29名の“アングラー飼育員”がこれまでにない視点で魚の生態を紹介しています。アオリイカは盲目で黒が嫌い! タチウオは底のエサも食べる! 音は摂餌スイッチ! タコのエサにらっきょうはあり! 究極のエサ作り! などなど……アングラー飼育員それぞれの目線と思考で、日常業務のなかで見た、試した、実践した釣り魚の情報が満載です。(Amazonより引用)
水族館の釣り大好き飼育員28名による、28通りの釣り魚の生態レポートです。
メバルの帰巣性、究極のコイのエサ、ブラックエギによる満月シャロー攻略、フライと色の世界、ブリの一本釣りとスレの関係性etc…
川釣りから海釣りまで、幅広くいろんな魚の生態が語られています。
アマゾンのピラニアからみる捕食音の効果や、日本では高知県でしか釣ることができない幻の魚「アカメ」の生態まで取り上げられており、かなりマニアックな内容です。
メバルはニオイで巣に帰る
個人的に面白かったのが、メバルの帰巣性。
メバルって、狭いエリアで生活することが多く、あまりに釣りすぎるとそのポイントにメバルがいなくなることがあります。
いわゆる、場荒れしてしまった状態です。
一方で、誰も狙っていない竿抜けポイントでは爆釣することも。
で、どうやらメバルには「巣」(「帰るべき家」というべきか)があるらしく、1972年に行われたタグ標識実験では20km近くを泳いでもとの生息エリアに戻ってきた実例があります。
もはや「根魚」というジャンルで括れない魚ですね。
で、ここでキーワードになるのがニオイ。
鼻に詰め物をしたメバルのほとんどは、巣に戻らなかったそうです。
サクラマスも川に戻るのは、川が持つアミノ酸を嗅ぎ分けているからと言われています(サケなんかは磁気コンパスも影響しているようですが)。
ガルプなどのニオイ系ワームが根魚に強いのも、ニオイが持つ力が大きいためと考えられます。
ここでヒントになるのが、マダイやタチウオ。
これらの魚は魚体に対して目の割合が大きいので、視覚で捕食する傾向が高いです。
一方で、嗅覚も発達しているので、ナイトゲームではやっぱりルアーにニオイがあればもっと釣れるのかも・・・と妄想が膨らみます。
ちなみに、ニオイ成分はアミノ酸が最も魚に訴えるようです。(先のサクラマスの帰巣も同様)
ちなみにちなみに、アミノ酸にも色々ありますが、グリシン・プロリン・アラニンなどの含有量が高い食品1位はゼラチン(豚肉)。
豚肉の脂身には、ぷるぷるのゼラチンが多く含まれておりますが・・・。
あれ?豚肉の脂身を使った釣り、ありますよね?
そうです、タコ釣りです。
小学生くらいの頃からずっと、「豚の脂身なんて海の中にはないのに、タコが釣れるって変なの!」と思ってました。
しかし、タコ自体が豚肉の脂身(ゼラチン)から放出されるアミノ酸を感じているとしたら・・・?
と思って本書を読み進めると、ありました。「タッチで味見するタコ」の章。
いや〜、釣りに関するいろんなことが繋がって面白い!
シーズンごとに読み返したくなる内容
今回はニオイにフォーカスしましたが、視覚・聴覚・捕食スイッチなど、様々な器官についても詳しく触れられています。
しかも、釣り人の観点から書かれているから面白くないわけがない。
尺メバルの表層早巻き釣り、月夜の黒エギ、タチウオの摂餌水温、ブリのスレ方などがなかなか興味深かったですね。
実釣にも生かしてみたいと思います。
読んだらすぐ忘れちゃう脳みそなのでメモは取っていますが、シーズンごとに読み返したくなる内容です。
年末年始など、釣りも一休みでのんびりしているときに読むと釣り欲に火がついちゃうかも!?
以上、「知ってるつもり?釣魚の生態。メバルはニオイで巣に帰る!?」でした!